「令和3年改正育児・介護休業法に関するQ&A」が更新されています
投稿日:2022.08.26
厚生労働省は、7月25日、「令和3年改正育児・介護休業法に関するQ&A」を更新しました。
今回の更新では、以下の項目にQ&Aが追加されています!
●妊娠・出産等の申出について
●雇用環境整備の措置の実施について
●出生時育児休業制度に関する改正法の施行前後の取扱いについて
●出生時育児休業申出期限の変更
●出生時育児休業期間の年次有給休暇の付与に係る出勤率算定
●管理監督者や通常と異なる労働時間制度の適用される労働者への適用
●出生時育休中の部分就業についての休業手当の取扱い
<令和3年改正育児・介護休業法に関するQ&A>追加されたQ&Aを抜粋
【妊娠・出産等の申出について】
Q2-12:個別の周知・意向確認の措置について、印刷可能な書面データをイントラネット環境に保管しておき、妊娠・出産等をした者はそれを確認するようにあらかじめ通達等で社内周知しておく、という方法でも書面による措置として認められるのでしょうか。
→ (前略)あらかじめ広く社内周知を行い、妊娠等の申出をした労働者が自らその書面等を確認するといった方法では、法第 21 条第1項の事業主の義務を履行したことにはなりません。
【雇用環境整備の措置の実施について】
Q3-4:法第22条第1項の雇用環境の整備等の措置のうち、第1号の「育児休業に係る研修の実施」について、 ① オンラインでの研修の実施は可能でしょうか。 ② 厚生労働省のホームページに掲載されている育児休業に関する資料の会社掲示板への掲載、配付でも雇用環境の整備の措置を実施したものとして認められますか。
→ ①(中略)労働者が研修を受講していることを担保することが必要です。 ②(中略)単に資料や動画の会社掲示板への掲載や配付のみでは、研修を実施したこととはなりません。
Q3-6:同じく「育児休業に関する相談体制の整備」について、相談を受け付けるためのメールアドレスやURLを定めて労働者に周知を行っている場合は、相談体制の整備を行っているものとして認められますか。
→ (前略)実質的な対応が可能な窓口が設けられていれば、その存在をメールアドレス等の方法で労働者に周知を行うことは差し支えありません。
Q3-7:法第22条第1項の雇用環境の整備等の措置のうち、 ① 雇用する労働者の育児休業の取得に関する事例の収集・提供は、1度だけ行えばよいものでしょうか。 ② また、育児休業に関する制度及び育児休業の取得の促進に関する方針の周知についても、1度だけ行えばよいものでしょうか。
→ ①(中略)定期的に育児休業の取得に関する事例の更新を行い、閲覧した労働者が育児休業申出の参考となる事例にする必要があります。②(中略)定期的な周知の実施が必要です。
【出生時育児休業制度に関する改正法の施行前後の取扱いについて】
Q5-4:現行のいわゆる「パパ休暇」(子の出生後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合には再度取得可)はどうなりますか。また、現行のいわゆる「パパ・ママ育休プラス」はどうなりますか。
→ 現行のいわゆる「パパ休暇」は、今回の改正に伴いなくなり、出生時育児休業と、育児休業の分割取得化に見直されることとなります。なお、現行のいわゆる「パパ・ママ育休プラス」は引き続き利用できます。
【出生時育児休業申出期限の変更】
Q5-11:法令で定められた雇用環境の整備等の措置を労使協定で定めることにより、原則2週間前までとされている出生時育児休業の申出期限を最大で1か月前までとしてよいこととされていますが、この措置のうち、「育児休業の取得に関する定量的な目標を設定」すること(育児・介護休業法施行規則(以下「則」といいます。)第21条の7第2号)については、グループ会社全体の数値目標を設定すれば要件を満たすことになりますか。
→ (前略)グループ内のそれぞれの事業主において当該事業主が雇用する労働者による育児休業の取得に関する定量的な目標を設定する必要があります。
Q5-12:出生時育児休業申出期限の短縮に関する雇用環境の整備等の措置のうち、「育児休業の取得の促進に関する方針の周知」(則第21条の7第2号)については、1度周知すればそれで十分でしょうか。
→ (前略)定期的に周知する必要があります。
Q5-13:出生時育児休業申出期限の短縮に関する雇用環境の整備等の措置のうち、「育児休業申出に係る当該労働者の意向を確認するための措置を講じた上で、その意向を把握するための取組を行うこと」(則第21条の7第3号)について、事業主が育児休業申出の意向を確認したものの、回答がない労働者がいる場合は、この要件を満たすためには、どのような取組を行えばよいのでしょうか。
→ (前略)回答がないような場合は、回答のリマインドを少なくとも1回は行うことが必要です(そこで、労働者から「まだ決められない」などの回答があった場合は、「未定」という形で把握することとなります。)
【出生時育児休業期間の年次有給休暇の付与に係る出勤率算定】
Q6-3:出生時育児休業は、年次有給休暇の付与に係る出勤率算定に当たって、出勤したものとみなされますか。また、出生時育児休業中に部分就業を行う予定であった日について、欠勤した場合や子の看護休暇等の年休の出勤率算定に含まれない休暇を取得した場合についてはどのようにみなされますか。
→ (前略)出生時育児休業をした期間についても、育児休業をした期間と同様に出勤率の算定に当たり出勤したものとみなされます。また、出生時育児休業中に部分就業を行う予定であった日について、欠勤した場合や子の看護休暇等の年次有給休暇の付与に係る出勤率算定に当たり出勤したものとみなされない休暇を取得した場合であっても、その日については出生時育児休業期間中であることから、出勤したものとみなされます。
Q6-9:出生時育児休業中に就業させることができる者について労使協定で定める際、 ・「休業開始日の○週間前までに就業可能日を申し出た労働者に限る」といった形で対象労働者の範囲を規定することや、 ・1日勤務できる者(所定労働時間より短い勤務は認めないなど)、特定の職種や業務(営業職は可だが事務職は不可、会議出席の場合のみ可など)、特定の場所(A 店は可だが B 店は不可、テレワークは不可など)で勤務できる者、繁忙期等の時期に取得する者等に限定することは可能ですか。
→ ご指摘のような形で対象労働者の範囲を定めることは可能です。
Q6-10:出生時育休中の部分就業の上限について、「就業日における労働時間の合計が、出生時育児休業期間における所定労働時間の合計の2分の1以下であること」とありますが、直前まで育児短時間勤務をしている場合等は1日の所定労働時間は6時間になるのですか。それとも出生時育児休業の開始により短時間勤務が終了となり、通常の勤務時間で計算するのでしょうか。
→ (前略)出生時育児休業期間中については、所定労働時間の短縮措置の対象となりません。したがっ
て、出生時育休中の部分就業の上限時間は、短縮前の労働時間をもとに計算します。
【管理監督者や通常と異なる労働時間制度の適用される労働者への適用】
Q6-11:労働基準法第 41 条第2号に規定する管理監督者に出生時育休中の部分就業を行わせることは可能ですか。
→ (前略)通常の労働者と同様の手続きを踏んだ上で、出生時育休中の部分就業を行わせることは可能です。(中略)出生時育休中の部分就業の合意の範囲内に労働時間の選択が限定されることをもって直ちに管理監督者性が否定されることにはなりません。ただし、出生時育休中の部分就業を行う場合であっても、引き続き管理監督者として扱われ、自身の労働時間に関する裁量を有していることから、予め合意した就業日時より少ない時間数しか実際に就業しなかったことをもって賃金の減額等のペナルティを課すことは、管理監督者性の判断においてこれを否定する要素として働きうることに留意することが必要です。
一方で、予め合意した就業日時の範囲を超えて就業することは育児・介護休業法上認められていないため、当日就業する日時の目途が立たない場合には、予め合意する就業日時を広く設定しておくことが考えられます。ただし、その場合でも、出生時育休中の部分就業を実際に行う時間数は、則第 21 条の 17 に定める範囲内(※)に収めなければならないことに留意が必要です。
(※)・出生時育児休業期間の所定労働日数の2分の1以下(1日未満の端数があるときは切り捨て)
・出生時育児休業期間における所定労働時間の合計の2分の1以下
・出生時育児休業開始予定日又は終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満
Q6-12:フレックスタイム制の適用される労働者に出生時育休中の部分就業を行わせることは可能ですか。
→ 可能です(労使協定等により対象外とされた労働者を除く。)。(中略)具体的には、以下の2つの方法が考えられます。
(中略)① 労働者をフレックスタイム制の対象としたまま出生時育休中の部分就業の対象とする。
(中略)② 労働者をフレックスタイム制の対象から外し、通常の労働者の労働時間管理を行うこととした上で、法第9条の5第2項の就業可能日等の申出を受け、同条第4項の規定に従ってその範囲内で日時を提示し、労働者の同意を得た場合に当該日時に就業させる。
Q6-13:フレックスタイム制の適用される労働者がその適用を受けたまま出生時育休中の部分就業をする場合は、労働者の就業可能日等の申出とそれを受けた事業主の提示については、例えばどのように行うことが考えられますか。
→ (前略)例えば、① 労働者が、就業可能な時間帯と出生時育児休業中に就業可能な時間数の最大幅を示し、② そのうえで、事業主から就業可能日時の外枠(その枠内で就業してよい範囲)のみを示し、その枠内での始終業時刻は労働者の決定に委ねることなどが考えられます。
Q6-14:フレックスタイム制の清算期間中に出生時育休中の部分就業を行った場合の賃金の支払に関してはどうなりますか。
→ (前略)フレックスタイム制における総所定労働時間は、出生時育児休業期間が含まれる清算期間でも特別の定めをしない限り変更になることはありません。そのため、出生時育休中の部分就業を行った時間を含む清算期間の実労働時間が清算期間の総所定労働時間に満たない場合には、その満たない労働時間分を控除した賃金を支払うことになります。
Q6-15:事業場外労働のみなし労働時間制の適用される労働者に出生時育休中の部分就業を行わせることは可能ですか。
→ 可能です(労使協定等により対象外とされた労働者を除く。)。(中略)具体的には、以下の2つの方法が考えられます。
①(中略)労働者を事業場外みなし労働時間制の対象としつつ、出生時育休中の部分就業の対象とする。
②事業場外における労働時間を算定しがたい業務から一時的に外して別の業務に従事させることとした上で労働者を事業場外みなし労働時間制の対象から外し、通常の労働者の労働時間管理を行うこととした上で、出生時育休中の部分就業の対象とする。
Q6-16:裁量労働制の適用される労働者に出生時育休中の部分就業を行わせることは可能ですか。
→(前略)予め合意した就業日時の範囲内で就業することとなっている出生時育休中の部分就業を行いながら裁量労働制の適用を続けることはできません。(中略)出生時育休中の部分就業を行わせる場合には、労働者を裁量労働制の対象から外し、通常の労働者の労働時間管理を行うこととした上で、通常の労働者と同様に、法第9条の5第2項の就業可能日等の申出を受け、同条第4項の規定に従ってその範囲内で日時を提示し、労働者の同意を得た場合に当該日時に就業させることとなります。なお、この場合においては、就業規則等で定められた通常の労働者に適用される所定労働時間数を元に就業可能な時間数(所定労働時間の半分)の算出を行います。
【出生時育休中の部分就業についての休業手当の取扱い】
Q6-17:出生時育休中の部分就業を行う日が、使用者の事情による休業となった場合について、会社は休業手当を支給する義務がありますか。
→ (前略)休業手当の支払いが必要となります。
詳細はこちらから↓
スピカ社会保険労務士事務所では、社会保険手続きの具体的な対応に関するご相談をお受けしております。
お気軽にお問い合わせください♪